WRAP(ラップ:元気回復行動プラン)の力でうつ病と向き合う、実践編

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 はじめに

これまでWRAPについて、以下の記事で紹介してきました。

WRAP(ラップ:元気回復行動プラン)の力でうつ病と向き合う、体系編

WRAP(ラップ:元気回復行動プラン)の力でうつ病と向き合う、元気に大切な5つのこと

この記事では、実際にWRAPをどのように実践していくのかについて解説していきます。ざっくり言うと、元気に役立つ道具を使って、以下のような場合にどう対処していくのかをプランニングする、という事です。

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元気に役立つ道具

自分が元気でいられるようにする、または調子を崩した時に何かをする事によって元気を取り戻すために使うものを、WRAPの世界では道具といいます。これらの道具は、「元気に大切な5つのこと」で述べた考え方を元に、自分の中に落とし込んだものになります

この道具は、人によってもシーンによっても様々なものがありますが、この後に述べるプランを実施するにあたり、すぐに自分が使えること、すぐに自分が出来ることを意識するといいです。例えば、悲しい気持ちになった時に、お気に入りの音楽を聴く、といった感じです。

道具といっても、物にこだわる必要はありません。先述の例のように、音楽といったものでも大丈夫です。目で見て、耳で聞いて、何かを食べて、何かに触れて、といった感じで、このようなケースに該当しそうなものを道具にすればいいです。

見るものであれば、お気に入りの風景写真をミニアルバムにして持ち歩く。

聞くものであれば、お気に入りの音楽をiPhoneに入れておく。

食べることであれば、飴や飲み物を持ち歩く。

触れることであれば、肌触りのいいハンカチを持ち歩く。

これらは感覚的な内容になっていますが、これだけでは不十分という方も多いと思われます。例えば、発作が起きた時に頓服を飲むとか。

こうしたものが、WRAPでいう道具になります。勿論、ここに紹介したのは例ですので、人によっても、シーンによっても、考え方によっても様々なものがあります。自分自身にとって、これがあるといいと思えるものを取り入れてみましょう。

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いい感じの自分を知る

この後に述べる様々なプランを考える前に、まずはいい感じの自分がどういう姿なのかを知っておく必要があります。これを知らないと、調子を崩した時に、どのような状態になるのが理想なのか、その方向性がわからないとプランニングも出来ないからです。

まずは、自分にとって理想的な状態をイメージしてみましょう。ここでは、体調は勿論、考え方や感じ方といったメンタル面でのイメージもしていきます。このような場面で、いざイメージしようと思っても、意外と難しいと思われる方も多いと思われます。その場合は、逆に調子が悪い状態をイメージしてみて、その裏返しになるような事をイメージするのが、取っ掛かりやすいです。

そして、こういう状態が理想的だ、というような内容を、なるべく具体的にいくつか考えた方がいいです。と言うのも、例えば、理想的な状態が10個あったとします。そのうち、1つか2つでも理想とかけ離れているなと気付く事で、何らかのプランを発動させる事が出来て、結果としていい感じの自分を維持出来るという訳です。

日常生活の管理プラン

日々いい感じの自分であり続けるために意識して実施すべき事をリスト化していきます。ここで使うリストは、元気に役立つ道具そのものになります。と言っても、あまり難しく考える必要はありません。これだけは毎日必ず続けようと思える事から考えていけばいいだけです。要するに、毎日のルーティンと言い換える事も出来ます。

例えば、毎朝7時に起きる、朝食後にコーヒーを飲む、夕食前に入浴する、テレビを観る、処方通りに服薬する、寝る前に水を飲む、等々。

引き金とプラン

引き金とは、これが起きる事によって心身に不調をきたしたり、精神的に安定している状態を保てなくなる要因を指します。何が起きると精神的に安定出来なくなるのか、それが起きてしまった場合にどうすれば乗り越えられるのかをリスト化していきます。

ここでは、引き金そのものと、その状態からリカバリーするために必要な道具のそれぞれについてリスト化します。引き金と言うと難しく考えてしまいがちですが、要するに、自分としては避けたい事から考えてみるといいでしょう。何が原因で、精神的に安定している状態を保てなくなったのかを振り返ればいい訳です。

引き金の例としては、睡眠不足、人混み、待ち時間が長い、傷付く事を言われた、等々。

リカバリーの例としては、早く寝る、空いている時間を狙う、言われた相手から離れる、このような事を言わないで欲しいと訴える、等々。

ちなみに、人混み、待ち時間が長い、といった引き金に対して空いている時間を狙うというのは、「元気に大切な5つの事」の「学び」がベースになっています。また、傷付く事を言われた相手から離れる、言わないで欲しいと訴えるというのは、「権利擁護」がベースになっています。

注意サインとプラン

いい感じの自分と何か違う、そう感じている時は、注意サインが出ている時かもしれません。意識していないと見逃してしまうようなケースもあります。このような時に備えて、こういうサインが出たら注意だなとか、こういうサインが出たらこうしよう、といった事をリスト化していきます。

ここでは、注意すべきサイン、サインが出た場合の対処法のそれぞれについてリスト化します。この注意サインですが、「いい感じの自分」で述べた自分の理想的な状態から、ちょっとズレが生じているような場合を想定すると、思い付きやすいかと思われます。つまり、「何かいつもとちょっと違うぞ」という気付きこそがサインになる訳です。

注意サインの例としては、朝起きられない、日中眠くなる、些細な音が耳障りに感じる、等々。

対処法の例としては、朝起きたら白湯を飲む、顔を洗う、耳栓をする、等々。

調子が悪い時のプラン

注意サインを通り越して明らかに調子が悪いという時の対処法をリスト化します。注意サインでは微かなズレが生じているようなケースでしたが、ここでいう調子が悪い時というのは、このズレが大きくなってしまったような場合を指します。例えば、眠れない、論理的な考えが出来ない、感情的になってしまう、等々。

対処法の例としては、睡眠導入剤の調整、主治医への相談、無理をしない、等々。

尚、仕事をしている場合においては、この段階で休むといった選択肢も用意しておく必要があると考えております。ここで無理をすると、次に述べるクライシスな状態に陥る可能性が高くなります。

クライシスプラン

調子が悪いを通り越して、他者のサポートが必要な状況に陥った時に備えた対処法をリスト化します。この状態になると、セルフケアそのものが成り立たなくなり、医療機関を受診、あるいは入院という事まで視野に入れておく必要があります。

このような場合での対処法ですが、自身の住環境にもよってくると思われます。一人暮らし、家族同居のそれぞれでも、対処法は異なってくると思われます。一人暮らしであれば、離れて暮らす家族、関係者との連絡手段を考えておく必要があります。家族と同居している場合でも、今の状況を知ってもらう必要があります。

クライシスプランは、いわば最悪の状態とも言えます。そのため、自分だけではどうにもならない状態となってしまった際の対処法をリスト化しておく事は、クライシスな状態を長引かせないためにも重要な事です。

クライシス脱出後のプラン

クライシスな状況を脱したとしても、すぐにいい感じの自分に戻れるという訳ではありません。このため、順調な回復に向けてどのような対処法が必要なのかリスト化しておく必要があります。

基本的には、いい感じ→引き金→注意→調子が悪い→クライシス、という流れになります。このため、逆もクライシスから一気にいい感じには向かいません。ひとつずつ段階を追っていく必要があります。まずは、どのような状態になればクライシスな状態を脱したと判断出来るかを明確にする所から始めましょう。そして、段階的に回復に向かうために必要なプランを考えておきましょう。

注意点

WRAPはあくまでいい感じの自分を維持するための1つの考え方に過ぎません。このため、治療の代わりになるものではありません。医師による適切な治療を受けつつ、心身の安定に向けたセルフケアの一助として活用するようにして下さい。

そして、元気に役立つ道具選び、それぞれのプランについては、本当に調子がいい時に実施するようにして下さい。調子の悪い時に考えると、返って良くない結果に繋がってしまう恐れがあります。ただ、調子の悪い時の状況や考えとかは、メモに残しておくと、後で振り返る時に役立つと思います。

また、元気に役立つ道具を揃えて、それぞれのプランを作ったら、そこで終わりではありません。道具の追加やプランの見直しは、その都度実施していく事で、より効果的にWRAPを活用していく事が出来ます。

終わりに

WRAPを活用していくにあたり、実際にどのように実践していくのがいいか解説しました。それぞれの段階でプランニングしていく事の重要性や、その中でどのような事に取り組んでいけばいいのか、なるべく具体的にわかりやすく解説するように努めました。

私の感覚的には、注意サインまでであれば、セルフケアで何とかなる場合もありますが、調子が悪いという状態になると、医療機関の介入が必要になってくるのかなと思っています。また、クライシスは最悪の状態とも言えます。そのような時の事を考えたくないと思われる方も多いでしょうが、考えておくとおかないのでは、考えておかないと危険な状態にもなりかねません。

色々と奥深いWRAPについて、私の知識と、調べた限りの内容について、3部構成で記事にしました。WRAPをどのように活用していこうか考えている方の参考になれば幸いです。

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